伝統的なお菓子
マドリードの豊かな食文化は、バラエティに富んだ数々の菓子類に見られ、特定の日や行事に結び付いている物もあれば、通年販売されている物もあります。当地独特の製法に、しばしばアラブの影響も見られるマドリードの菓子類には、スペインの他地方の名物も含まれています。これは、マドリードが伝統的に国内各地からの人々を受け入れてきたことを示すものです。代表的なスイーツには、トリハス、チューロス、ウエソス・デ・サント、バルキージョスがあります。
マドリード市内には非常に多くの菓子店があり、中には、ラ・アンティグア・パステレリア・デル・ポソ(La Antigua Pastelería del Pozo)、エル・リオハノ(El Riojano)、ラ・マジョルキナ(La Mallorquina)、ビエナ・カペジャネス(Viena Capellanes)など、100年以上の伝統を誇る店もあります。新しい菓子店としては、ラ・デュケシータ( La Duquesita)、ヌノス(Nunos)、バイト(Vait)、マノロ(Manolo)、エル・オルノ・デ・サン・オノフレ(El Horno de San Onofre)、ロスコネリア・バルゲニョ(Rosconería Bargueño)が挙げられます。
多くのお菓子が特定の日や宗教行事と結び付いているため、そうした機会にはいつもマドリードの菓子店は大勢の人でいっぱいになります。最も特徴的なお菓子をご紹介しましょう。
- ロスコン・デ・レジェス(Roscón de reyes):毎年クリスマスシーズンになると、橙花水を材料に使い、砂糖漬けのフルーツで飾り付けたこのおいしい菓子パンが、東方三賢人の日を祝うために菓子店に並びます。プレーンタイプの他に、生クリーム、トリュフ、クリーム、チョコレートを詰めたものがあり、普通は中に小さな贈り物とソラマメが入っています。伝統的に、贈り物を見つけた人はラッキー、ソラマメを見つけた人はアンラッキーとされています。
- トゥロン(Turrón):これもクリスマスには欠かせないお菓子です。トーストした黄身、フルーツ、ホワイトタイプ、ハードタイプ、チョコレートなど、様々な種類があります。1942年の創業以来、マドリードの有名トゥロン店として名高いカサ・ミラ(Casa Mira)には、長蛇の列ができます。
- サン・アントンの小型パン(Panecillos de San Antón):1月17日頃、多くの市民が、ペットに祝福を受けさせ、動物の守護聖人である聖大アントニウスの日を祝うため、オルタレサ通り(Calle Hortaleza)の教会へ出かけます。簡単なレシピで作られ祝福を受けた小型パンは、伝統的なこの日に欠かせません。
- チョコレートのイワシ(La sardina de chocolate):イワシの形をしていて丸ごと食べられ、主な材料がチョコレートの新しいこのデザートは、カーニバルの公式デザートです。
- トリハス(Torrijas):卵と牛乳またはワインに浸した薄切りパン「トリハス」は、聖週間に国内各地で食べられるお菓子ですが、マドリードでは蜂蜜がかけられ独特な味となっています。
- サン・イシドロのドーナツ(Rosquillas de San Isidro):5月15日頃、マドリードのサン・イシドロでは、守護聖人の日を祝うマドリード市の祭りが、聖人に捧げられた礼拝堂で行われ、人々は噴水の水を飲み、このマドリードならではのお菓子を味わいます。ドーナツには2つの種類があり、砂糖をまぶしたものが「リスタス(お利口さん)」、何もつけないプレーンタイプが「トンタス(お馬鹿さん)」と呼ばれています。
- ウエソス・デ・サント(Huesos de santo):アーモンドを材料に作られる甘い筒状のお菓子は、毎年11月1日の諸聖人の日に食べられます。もともとは黄身を使った甘いクリームが詰められていましたが、現在ではチョコレート、ココナッツ、ヨーグルトなど、バラエティに富んだ味が揃っています。ウエソス・デ・サントと詰め物入りの揚げ菓子ブニュエロス(Buñuelos)も、ハロウィンの夜を祝うため、あらゆる好みに合わせたカラフルで様々な味のものになります。
- クリーム入りドーナツ(Buñuelos de viento):ウエソス・デ・サントと同様に、11月1日に食べられるお菓子です。通常、生クリームやクリームが詰めらています。
コロナス・デ・ラ・アルムデナ(Coronas de la Almudena):80年代にマドリードの菓子職人たちが、市の守護聖母であり、菓子職人のギルドの守護聖母でもあるアルムデナの聖母に、敬意を表して考案したもので、毎年、守護聖母の日の11月9日ごろ、菓子店のショーウインドーに並びます。簡単なレシピで作られているこのお菓子は、形も材料もロスコン・デ・レジェスに似ていますが、小さいリングで、橙花水は使われず、飾りには砂糖漬けフルーツの代わりに、サワーチェリー、クリーム、アーモンドなどが使われています。カスタードクリーム、生クリーム、トリュフを詰めたものもあります。
また、マドリードには、特別な祝日に関係なく、ほぼ1年を通して楽しめるお菓子もあります。
- チューロス(Churros):長く伸ばした円筒状の生地を、油で揚げて砂糖をまぶしたもので、マドリードのチューロスはループ状です。朝食や軽食に最適な一品。お正月の朝には、パーティの終わりに、ホットチョコレートと一緒に食べる習慣があります。
- バルキージョス(Barquillos:ウエハース):今ではウエハース売りはほとんどいなくなりましたが、かつてマドリードの通りでは、ルーレット付きの缶を携えた姿がよく見かけられたものです。人々は、簡単なルーレット遊びをして、人気のある円柱または平らなウエハースを手に入れていました。
- ホットチョコレート(Chocolate a la taza):寒さの到来とともに、この温かくて濃厚な飲み物は、市内の店でとる朝食や軽食のチューロスにぴったりの組み合わせとなります。チョコラテリア・デ・サン・ヒネス(Chocolatería de San Ginés) はホットチョコレートの老舗の一つです。
- バルトリージョス(Bartolillos):ほぼ三角形で滑らかなクリームが入ったこのパイ菓子は、チューロスやペスティーニョスと同様、注意深く油で揚げられてできあがります。
- ペスティーニョス(Pestiños):作り方から「フライパンのフルーツ」と呼ばれるアラブ起源のこの菓子の特徴は、揚げた後でたっぷり蜂蜜や砂糖がつけられる点にあります。
- ラス・チャティータス(Las Chatitas):この典型的な甘菓子は、サラマンカ地区にあるパティスリーショップAnimariのオーナーであるペドロ・マルティネス・ロペスの手によって90年代に生まれました。小さくて非常に軽いスポンジケーキに、ラズベリー、イチゴ、またはダルス・ド・レッシュを詰め、ブラック、ミルク、またはホワイトチョコレートでコーティングしたものです。
- パルメリータスとマノリートス(Palmeritas y Manolitos):マドリードの菓子店のもう一つの定番はパイ生地のパルメリータス。コーティングに、チョコレートやココナッツの他、あらゆるタイプの創作物を用いることができます。最も有名なパルメリータスとしては、モラタ・デ・タフーニャ村が挙げられますが、マドリードの La palmerita de Morataでも手に入れることができます。スイーツとしては、マドリードで最も有名なクロワッサンであるマノリートスも特筆に値します。
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